日本で最初に石鹸を使ったのは織田信長だった!?知られざる石鹸の歴史

日本で最初に石鹸を使ったのは織田信長だった!?知られざる石鹸の歴史

 普段、何気なく使っている石鹸がいつ頃からあったのか、疑問をもったことはありませんか。「誰が発明したの?」「日本に入ってきたのはいつ頃?」。今では誰でも買える石鹸ですが、過去には特別な地位の人だけが常用していた高級品でした。では、誰でも使えるようになったのはいつ頃だったのでしょうか。

このページでは石鹸が「いつ、誰の手によって作られたものなのか」知られざる石鹸の歴史について紹介します。

記事を読むことで、今使っている石鹸の歴史について詳しく知ることができます。起源や日本で最初に石鹸を使った歴史上の人物も分かるので、歴史好きの方にもおすすめです。

石鹸の起源

 

石鹸の誕生は偶然だった

 紀元前5000年頃は、水で落ちにくい汚れを天然のナトリウムや粘土にこすりつけて洗っていました。石鹸が誕生するより前から、人間は知恵を使って汚れを落とす方法を探していたようです。

そして紀元前3000年頃、古代ローマ時代になると石鹸の原型が誕生します。サポーという丘のある場所で、神様にお供えする羊を調理していた時、肉からしたたり落ちた油が炭に混じったそうです。試しにその灰で汚れを落とすと良く落ちたため、その後も使われるようになりました。誰かが汚れを落とそうと考えて作ったわけではなく、偶然にできたものが石鹸の原型になったのです。

同じ頃、現在のイラクにあたるメソポタミアでも石鹸が作られていました。シュメール人が羊毛の洗浄に木灰と油を煮て石鹸を作っていたことが記録に残っています。シュメール人は石鹸として洗浄に使用するだけでなく、塗り薬としても常用していたといわれています。

 

石鹸の製造業が盛んになる

 石鹸の製造が本格的にはじまったのは、現在のスペインにあたるエスパニアとイタリアでした。最初は動物性脂肪と木灰で作ったクリーム状の石鹸が主流で、独特なにおいが特徴だったといわれています。

8世紀頃には石鹸製造業が認知されるようになり、においを和らげるために様々な改良がおこなわれていました。そして、12世紀頃にはオリーブ油と海藻灰を使った固形の石鹸を作れるまでに技術が進歩します。原料が変わり、独特なにおいもなくなったので、石鹸はヨーロッパで広く利用されるようになりました。

17世紀頃になるとヨーロッパ中で石鹸製造がはじまります。そのなかでも、地中海にあるマルセイユ石鹸は有名です。

 

石鹸の普及

石鹸は大量生産できなかった

 17世紀頃は石鹸の原料がオリーブオイルや海藻灰だったので、製造に手間がかかり大量生産はできませんでした。第一次世界大戦頃には油不足が深刻になったので、それまで以上に石鹸製造が難しくなっていきます。そのため、石鹸は一部の裕福層のみが使用できる高価な嗜好品でした。

しかし、フランス人科学者のルブランやスウェーデンの科学者カール・ヴィルヘルム・シェーレなどが人口ソーダ製造法やグリセリンを発見したことで新しい石鹸製造が可能になります。そして18世紀の終わり頃には、裕福層の嗜好品だった石鹸が格安で手に入るようになり、一般に普及していきました。

合成洗剤の誕生

 合成洗剤とは、石油や天然油脂などを原料に作られた石鹸の代用品です。今では一般的ですが、第一次世界大戦中に石鹸の原料になる油が不足した時、新たに開発されました。

大量生産も可能な製法で、石鹸の欠点とされる石けんカスもでないことから、広く利用されるようになります。合成洗剤が誕生したことで価格が安くなり、一般の人でも気軽に購入できるようになりました。そして体を清潔に保つようになったことで、それまで深刻な社会問題だった伝染病や皮膚病の発生率が格段に減ったとされています。

日本に石鹸がきたのはいつ?

日本で石鹸を最初に使ったのは織田信長?

 日本では、16世紀頃に石鹸が知られるようになりました。ポルトガルの宣教師ウルガンが織田信長に献上した石鹸が最初とされています。信長は汚れが良く落ちる石鹸に驚き、大変喜んだようです。

石鹸は早くに日本に入ってきましたが、当時はとても高価だったので一部の裕福層しか利用できないものでした。

また、徳川家康も石鹸を愛用していたといわれています。家康は石鹸で兵に傷口を洗わせるなど医学的なことにも使っていました。そして遺品の壺の中にたくさんの石鹸を残していたことも分かっています。

 

日本での石鹸製造

 石鹸はポルトガルから伝わった当初は、庶民の手が届かない贅沢品として扱われていました。1873年には国産石鹸が製造されるようになりましたが、それでも高価だったので一般に普及はしていません。当時は主食となるお米よりもはるかに高値で扱われていたといいます。

1890年代になると、日本でも国産ブランドが誕生します。そして明治時代頃になると大量生産が可能な合成洗剤の登場もあり、少しずつ安く一般の人が利用できるようになりました。日本で広く石鹸が普及し始めたのはこの頃だといわれています。

 

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